消えた清水能舞台(A探偵団5)

大岩

○映画村、オープンセット脇
   6人がいる。
木村「どうやって流れを変えるの?」
山本「それは分からん」

高田「何で岩に穴あけとるん?」
山本「それなんだが。坑道は奥に行くほど
 ずいぶんと広くなっている。もっと広げるつもりだ」

原田「で?」
山本「貯水場にするつもりだと思う」
木村「思いっきりたまったところで」

亜紀と太一「バーン!」
高田「ああ、びっくりした」
原田「貯水場が決壊する」

山本「そうだ」
木村「大量の水が一気に溢れ出し、清水の能舞台を
 水圧で押し壊し、清水坂を五条通へ流れ下る」

亜紀と太一「バーン!」
山本「そのとおり」
高田「相当の水が要るのとちゃう?」

山本「相当の水がめと水が要る」
木村「大雨洪水警報が出たとき」
原田「それは梅雨の終わりや、7月の中旬」

亜紀「祇園祭」
太一「長刀鉾」
山本「水無月の長刀鉾に誘われて、というのは?」

原田「7月祇園祭の後、大雨洪水警報が出たときや」
   6人、おおきくうなづく。

高田「ひょっとしてその水がめのふたてあの大きな岩とちゃう?」
   皆、高田の顔を見る。

○清水、不老の滝、大岩
   6人が大岩を見上げている。
   6人、顔を見合わせて、
6人「まちがいない!」
   そこに住職が通りかかる。

高田「ちょっとすみません」
住職「はい、なんでしょうか?」
高田「あの大きな岩の上のほうに鳥の羽根の
 ような形が見えますが、あれは?」

住職「よう気がつきなさったな。あれはこの清水を守る
 鉾の形、長刀鉾じゃよ」
   6人顔を見合わせ、
6人「えーッ!」

○ワゴン車
   ワゴン車、三条東山を右折。

○ワゴン車内
   6人がいる。
山本「まちがいない。変面はその水量を計算して貯水池を広げ
 岩盤に穴を開けてタイミングよく岩が崩れるように調整している」

原田「後はどうやって流れの方向を変えるかだな?」
木村「それは日ノ岡ね」
高田「うまいこと流れを変えんと自分も流されてまう」

山本「そのとおり。一番のポイントはそれだ」
   ワゴン車、蹴上の坂をあがる。
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