消えた清水能舞台(A探偵団5)

トンネル貯水池

○京都府警本部、正面

○同、本部長室
   山本本部長が電話をしている。
本部長「そうはいうてもなあ。それだけじゃあ府警は動けん。
 とにかく出羽と亀山に調査させるから、その結果次第だ」

   本部長、電話を切って窓の外を眺めながら、
本部長「まさかだとは思うがやりかねん。人的被害さえ出なければいいのだが」
   本部長、電話をとる。
本部長「出羽と亀山を呼んでくれ」

○日ノ岡
   出羽、亀山、堤の辺りを調べている。
亀山「別に変わった事はありませんねえ」
   二人、土手のトラックの所に来る。

   二人、トラックの脇からトンネルの中に入ろうとする。
   が、狭くては入れない。

出羽「潰れて入れん」
亀山「別に変わった事はありませんねえ」
   二人、諦めて通り過ぎる。

○同、山林
   雑木林の中に空気口がある。
   木々に隠れて見えにくい。
   時々ふたが開く。
   ふたには変面の絵が描いてある。

   出羽と亀山が歩いてくる。
   木々に混じっていくつかの空気口がある。
   時々ふたが開いてはしまっている。

   二人が見上げるとしまっている。
   二人が歩き始めるとふたが開く。
   全く気付かずに進む二人。

亀山「別に変わった事はありませんねえ」
出羽「・・・・」
亀山「清水寺が消失するなんて」

出羽「それはないやろうとは思うが・・・・・」
   二人去る後姿。

○日ノ岡
   疎水が流れている。
   6人がいる。
   疎水の先はトンネルである。

山本「ここから南禅寺の裏までがトンネルだ」
木村「結構京都より標高が高そうね?」

山本「そう、鴨川と琵琶湖までは百数十メートルの標高差
 だから、ここらへんが約半分。まだまだ京都より高い」
高田「という事は、トンネルは下ってるんやわ」

原田「一瞬にしてその流れを変えるには?」
木村「疎水の下にトンネルを」
山本「そうか、なだらかなトンネルでいいわけだ」

原田「底が抜けて南禅寺と蹴上の浄水場へいく水が
 全部清水の裏にたまる」
高田「どのくらいで岩が崩れるのやろ?」

山本「わからん。この間見た限りでは数分で貯水スペース
 は満杯だ。しかもあの程度では岩は崩れない」
原田「岩盤に穴を開けていたのは?」

木村「ダイナマイト?」
山本「そうか、そうかもしれん」
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