消えた清水能舞台(A探偵団5)

岩盤

高田「あれ?亜紀ちゃんと太一君は?」
   そこへ二人が現れる。
原田「どこへ行ってた?」

亜紀「大きな穴が」
太一「前よりものすごく大きくなってる」
亜紀「反対側にも」

山本「一味は?」
亜紀と太一「今日はお休みみたい」
山本「よし、行って見よう!」

   6人、うなづく。
太一「あ、それにもうひとつ」
原田「何だ?」

亜紀「あ、そうそう、あれ!」
   太一と亜紀、山林を指差す。
   木々にまみれて空気口が見える。

山本「あ、空気口か。なるほど」
木村「じゃあ、あななた達、向こうからトンネルに入って。
 私達ここで合図をするから」

原田「それはいい」
山本「よし、じゃ分かれよう!」
   山本、原田、太一行く。

○土手の堤
   トラックが洞に埋まっている。
   山本、原田、太一が来る。
原田「あれ、荷台の脇まで埋まっている。
 どうやって入ったんだ、太一?」

   太一、笑みトラックの下にもぐりこむ。
山本と原田「なるほど」
   二人、腹ばいになる。

○トンネル、内
   真っ暗である。
   3人の声だけが聞こえる。
原田「真っ暗じゃないか。どうやって分かったんだ?広いのが」

   そこでぱっとライトがつく。
   太一が大きな懐中電灯を持っている。
山本と原田「おおー!」
   ライト、奥を照らす。
原田「これは広い!」
山本「確かにあちら側にもトンネルがある」
   ライト、あっち側のトンネルを照らす。

○坑道
   3人、ライトの中をゆっくりと歩む。
   立って歩けるほど広い。
   突き当たりで左に曲がっている。

原田「ずいぶん大きいトンネルやなあ」
山本「シッ。耳を澄ましてみ。音が聞こえる」
太一「あっちだ」
   あっちでカチンカチンと音が聞こえる。

太一「空気口です」
山本「彼女達だ」
原田「叩いてみよう」

   原田、近くの石を拾い管を叩く。
   トントンと返事の音がある。

○別の坑道
   忍者がいる。
   音に気づく。

○もとの坑道
   3人がいる。
原田「よし。大急ぎで奥を確かめよう」
山本「その前に歩数をよく確かめておこう」
   山本、歩数を数えながら歩み、壁に突き当たる。

山本「ここは岩盤ではない」
原田「ちょうど10歩。空気口からちょうど10歩だ」
山本「ふむ。岩盤を大急ぎで確認しよう」
   3人、うなづく。

○別の坑道
   忍者、忍び足で歩み始める。

○もとの坑道
   かなり広い坑道を3人が歩む。
山本「これは広い、前よりはずいぶん広い」
原田「ゆったりとした下り坂」
   3人下っていく。

○別の坑道
   忍者が警戒しながらゆっくりと歩んでいる。
   忍者、3人と出くわす。
   忍者、逃げようとする。

   原田、頭突きを食らわす。
   近くで縄を拾ってきて忍者を縛る3人。
山本「急いで岩盤を確かめよう」
   3人、うなづく。

○岩盤の部屋
   突き当たり、大きな岩盤。
   3人、驚き見上げながら、
山本「これはすごい!」

太一「ここにずっと穴が」
原田「ダイナマイトの穴?」

山本「という事は。疎水の底が抜けて水がこちらに流れ
 たまる。目一杯たまって岩が崩れる。これだけ広ければ、
 間違いなく清水の能舞台は壊れる」

   3人、じっと岩盤を見上げる。

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