もっと傷つけばいい
「おっ、パスタか」

テーブルのうえに並べられている夕飯を見たソウに、
「ソウの分もあるけど、食べる?」

あたしは質問した。

「じゃあ、いただこうかな」

ソウは毎日この時間にこうしてあたしのところに寄ってきて、一緒に夕飯を食べる。

彼は夕飯を食べ終わるとテレビを見て、お風呂に入る。

お風呂に入り終えたら、
「また明日な」

必ずあたしの頭をなでて家を出る。

こんな生活だ。

くるのはいつも夕飯時。

ただ一緒にご飯を食べて、テレビを見て、お風呂に入るだけ。

その間、ソウは何も要求しない。

躰も求めてこない。
< 29 / 140 >

この作品をシェア

pagetop