もっと傷つけばいい
そんなことを思ったあたしは、ドラマや小説の見過ぎだと思った。

ソウとは、そんな関係じゃないじゃない。

彼はあたしに住むところとお金を与えてくれただけである。

それ以上を彼に望んでいるあたしは、どれだけ愛情に飢えているのだろう?


4日目の夜のことだった。

「はい」

「――えっ…?」

夕飯を食べ終わった後、ソウはあたしの前にスマートフォンを差し出した。

しかも、今日CMで見たばかりの最新型だ。

「持ってなかっただろ?」

戸惑っているあたしの手に、ソウはスマートフォンを握らせた。
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