【完】ダンデライオン






ドアを開けると、エルノが立っていた。
少し、申し訳なさそうな顔をしている。




「ごめんね、たんぽぽ。……寝てた?」




「え…?いや、ウトウトしてただけ。……多分。」





「あぁ、そうなんだ。これから夕食の時間だから、声をかけにきたんだけど……しばらくノックしても全然反応がなかったから。」




だからエルノは私が寝てしまったのか、はたまた具合が悪くなってしまったのか…と心配になったらしい。


それで、さっきのノックがめちゃくちゃ激しかったのか……。




「ごめんね、大丈夫だよ。ありがと」




私がそう言うと、エルノはホッとしたように笑った。




「そっか、なら良かった。じゃあ、夕食を食べようか。大広間に行くよ」





そう言って、エルノは私の手を握って歩き出した。
何気ない行動に少しドキッとする。




そのまま、大広間に二人で向かった。




大広間に入ると、とても目立つ長テーブルが目に入った。
よく映画とかでお金持ちとかの食事風景とかで見るような。


そんなテーブル。





今までは端にある小さめな丸テーブルで話したことはあるけど、食事時は長テーブルの方に座るんだろうと思っていた。





でも、エルノは迷うことなく小さめな丸テーブルに向かって歩いていく。



私は予想と違う結果に、驚きを隠せない。





「エ、エルノ……?こっちのテーブルは…?」












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