実は、彼女はご主人様でした。
「心地いい…。この言葉もあなただから、こんなにも温かく心に響くんです。私はあなたになりたい。だから、私をあなたと一つにして…」



本来の桜雪が光り、体が透き通って行く。


戸惑いながらも、桜雪は本来の桜雪の魂を自分の中に取り込んだ。



途端に、真人の魂は通ってきた走馬灯の道を凄い勢いで引き戻されていく。体の自由が利かないまま、息もできないような衝撃で桜雪の体から出されると、真人の体の中に魂が戻された。



重い瞼を開け、真人はゆっくりと体を起こす。



どれくらいの時間が経ったのか、辺りは暗く、月明りが部屋を灯していた。
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