実は、彼女はご主人様でした。
顔を背け真人の言葉に答える桜雪の体を、真人は思い切り抱き締めた。

あまりの力強さに、桜雪も驚いたが、動こうとしても叶わない力強さに観念したのか、静かに自分の手を真人の背中に回した。



「やけに素直な反応だね」
 


桜雪の腕が自分の背中に回ると思っていなかった真人は、嬉しながらも、桜雪をからかい始めた。



「か、からかうな…太郎のくせに…」

「はいはい。確かに前世は犬の太郎でした。けど、何度も言ってるけど俺、今人間だし、そして、桜雪の彼氏だし。きっと、太郎も人間だったら桜雪のこと恋愛感情で好きだったと思うよ。今の俺がそうであるように」

「え…」

「じゃ、俺見てくれる?」

「はい?」

「いいから、ほら!」



真人は少しだけ体を離すと、桜雪と視線を合わせた。

目が合った桜雪は、自分を見ている真人の視線が恥ずかしかったのか、瞬時に顔を赤くさせる。
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