実は、彼女はご主人様でした。
黒い部分を吸収して無くしてしまえばいいのであれば、両親を始めからターゲットにしてしまえばいいのではないだろうか。


なのに、なぜ桜雪は人々を狙うのか。



「両親だけを狙えばよくない?」

「それだけじゃ駄目だ。私は半分人間になった中途半端な存在だ。そんな私が力を使うのには限りがある。前も言ったが、私の力の源は人間の負の感情だからな。ある意味、あれは必要なことということだ」

「……そっか。じゃ、俺は協力するしかないな。てか、俺がいないと駄目なんでしょ、両親の負の感情を出すためには」



意外にもあっさりと協力を得られたことに、桜雪は目を丸くさせるが、すぐに優しげな笑顔を向けると、真人の手を取った。



「協力してくれるのか!?さすが、私の犬だ!」

「今違うし!」

「あぁ、すまなかった。その…ありがとう…」



そう桜雪が言い終えた瞬間に、真人は桜雪を抱きしめた。
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