実は、彼女はご主人様でした。
桜雪は、なぜ本来の桜雪が戻ってくるのを拒否するのか考えるが答えが出なかった。真人も同じように考えるが、予想もつかないほど困難な疑問だった。



「まだ本来の桜雪はいるの?」

「いる。私の目的が完了するまではいると言うことだ」

「どういうこと?」



桜雪の目的、そのために桜雪は両親を抑制している。



「私の目的、それは両親の負の感情を抜き取ることだ。それによって、桜雪は幸せを手に入れることができるだろう」

「そうなの?」

「あぁ。負の感情を無くしてしまえば、彼女の言う幸せと言う普通の日常を手に入れることができる」

「なるほど…そういうことか」



人の生きてきた環境は見た目だけじゃ分からない。桜雪の過ごしてきた環境はそれだけ複雑で、真人は、その立場を自分に置き換えて考えることは想像の域を超えていた。


今の桜雪は自分の魂の一部を持った桜雪を救うために、人々の黒い部分を吸収している。



「…なぜ人々のものを吸収するの?」

「ん?」
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