実は、彼女はご主人様でした。
自分のビジョンを見つめ、黙っていた先生は次第に笑顔を見せ始める。その笑顔は自然な雰囲気のいいものではなく、どことなく見放した感じだった。



「俺の既視感って言うけど、俺、別に懐かしさは感じないけど?」



勝ち誇ったような視線を向け、先生は小さく笑っている。



「先生、家族の場面が懐かしいわけではないだろう」



桜雪が落ち着いた声で先生に問いかける。
その質問に、先生は再び黙り込んだ。



「懐かしいのは、その景色だろう?どこの遊園地かなんて分からぬが…たぶん、唯一家族そろって歩いたところが、今見ている場所だったということだろう?」

「………」

「その家族揃った日が、家族崩壊の日だったりしてな…と言うのが私の予想だ。そして、両親ともに、あまり子供には関心なかったのではないか?」

「…その辺で黙れ」

「嫌だ。私は意外にも意地悪だからな。で…」

「黙れよ!」



先生の手が勢いよく桜雪の口を塞いだ。その衝撃に、桜雪は先生の力のままに床に倒れ込んだ。
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