実は、彼女はご主人様でした。
確かに桜雪は以前にも人を殺したと言っていた。
真人自身、過去のことは全く思い出すことができない。
けれど、ほっておいてはいけない気もする。


真人は桜雪を見た。


視線を感じた桜雪は、声には出さずに心の中で疑問を呟く真人に答えを言葉にした。



「憎かったんだ、人間が。まぁ、私も人間だったんだが、な。あぁ、先生のことは大丈夫だ。さすがに生身の体で人を殺したくない」



寂しげな笑顔を浮かべ、桜雪は真人を見つめる。


生身の体。


一体、桜雪はどれだけの時間を過ごしてきたのだろう。



「桜雪…今も人間が憎い?」



今現在再び人間として生きていると言うことは、憎しみを捨てることができたと言うことなのかもしれない。

けれども、予想に反して、桜雪は首を横に振った。
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