実は、彼女はご主人様でした。
第六章 桜雪
目を閉じ、ぐったりとしている様子に真人は桜雪の名前を呼ぶが反応はない。

真人は桜雪を抱えると、二階に向かい、桜雪の部屋のベッドにゆっくりと寝かせた。



「何、これはどういうこと…」



呟く声にも反応はない。
白い肌が更に白く見え、真人はその頬に手を触れた。



「冷たい…」



その肌は冷たく、微かにあった体温も感じられないほどだった。


どうしようにも、どうすればいいのか分からない。
ここから離れることもしたくない。


真人は桜雪の手を握り、床に座った。

握った手は真人の体温で温かさを取り戻していく。

そうして目を閉じたままの桜雪を眺めて約一時間、ついにその瞳は開かれた。



「………ん…」

「桜雪…?」
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