四竜帝の大陸【赤の大陸編】
「ご、ごめんなさいハクちゃん!」

私ったら……やってしまったぁあああ!
ハクが扉の前でうろうろして待っていると、赤の竜帝さんが言っていたのに!

「痛かったでしょう!? ごめんね、ごめんなさいハクちゃ……ハク?」
 
鋭い爪を持つ四本指の手も可愛らしいぽっこりとしたお腹も、小刻みに震えて……。

「りこ。……ごめんなさい、なの、だ」

小さな手で自分の顔を覆ったまま、ハクは言った。
竜体のハクに耳から聞こえる音としての『声』は無いから、念話として彼の言葉が私の頭の中に届く。

「? なんで貴方が謝るの? 今のは私の不注意だから……ハク?」

床に背をつけて倒れている小さな竜の傍に膝をつき、脇に手を入れ目線が同じ高さになるよう抱き上げをると、ハクの尾がくるりと内側に巻かれた。

「……我はごめんなさい、なのだ」

顔を両手で隠したまま、再度謝罪をする彼。
彼が、ハクが謝っているのは……。

「なんで謝るの? ハクは私を迎えに来てくれたでしょう? 助けに来てくれたでしょう? 今回のことで、貴方が謝ることなんてなっ……ハクちゃん?」

私の右腕に、するりと何かが巻きつく。
見ると、ハクの尾だった。
さっきまでくるりと内側に丸まっていた尾が、私の腕に……。

「ハク?」

真珠色の鱗に覆われた尾が。
滑らかな動きで、私の腕を絡めとる。




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