四竜帝の大陸【赤の大陸編】
「……」
僕は、見ていた。
小さな子供にするかのようにシャゼリズ・ゾペロの乱れた髪を撫で、背をさするバイロイトを。
「シャゼリズ! 大丈夫ですか!? 貴方の保護を、私から陛下にお願いしますから私達と……私と帝都に行きましょう!」
バイロイトは以前、人間の子供の育てていた。
戦火で親を失った少女を拾い、その少女は術士の才があった。
成人し、少女は父親の分からない子を産んだ。
その数年後、彼女は<監視者>に処分された。
異界からの珍品を雇用者に望まれ、拒みきれずに術式を行使し……しくじった。
たった1匹の死にかけた羽虫が原因で、彼女は<監視者>に処分された。
残された息子は……。
「し……てん……ちょう」
バイロイトへと向けられた顔にあったのは、判別しがたい苦悶。
このまま『支配者』から逃れる道を選ぶのか、それとも……支配されることを望むのか。
「……っ、し……支店長っ……わ、私は……っく!」
シャゼリズ・ゾペロは答えを出し。
告げずに、消えた。
「シャゼリズ!?」
「転移だね。クロムウェル、あいつが何処に跳んだか分かる?」
「……そう遠くは無い、程度のことしか」
僕を見ずに言うクロムウェルの額には、汗が玉となって浮かんでいた。
クロムウェルの張った障壁の上に、導師(イマーム)が乗っていた。
「あひゃひゃひゃ! 行ったぁああ、行ったねぇええ! アレはどこに行ったんだろうねぇえええ? 追いかけなくていいのぉおおお? あひゃひゃひゃぁああ!」
その面白がってる様子に、僕が感じたのは苛立ちではなく確信。
「遠くは無い、ね。それだけ分かれば充分だよ。……バイロイト」
導師が、面白がっているってことは。
『面白いことがおこる』と考えたからだろう。
多分、コイツは知ってるんだ。
シャゼリズ・ゾペロが、バイロイトの養女だった術士の息子だってことを。
僕は、見ていた。
小さな子供にするかのようにシャゼリズ・ゾペロの乱れた髪を撫で、背をさするバイロイトを。
「シャゼリズ! 大丈夫ですか!? 貴方の保護を、私から陛下にお願いしますから私達と……私と帝都に行きましょう!」
バイロイトは以前、人間の子供の育てていた。
戦火で親を失った少女を拾い、その少女は術士の才があった。
成人し、少女は父親の分からない子を産んだ。
その数年後、彼女は<監視者>に処分された。
異界からの珍品を雇用者に望まれ、拒みきれずに術式を行使し……しくじった。
たった1匹の死にかけた羽虫が原因で、彼女は<監視者>に処分された。
残された息子は……。
「し……てん……ちょう」
バイロイトへと向けられた顔にあったのは、判別しがたい苦悶。
このまま『支配者』から逃れる道を選ぶのか、それとも……支配されることを望むのか。
「……っ、し……支店長っ……わ、私は……っく!」
シャゼリズ・ゾペロは答えを出し。
告げずに、消えた。
「シャゼリズ!?」
「転移だね。クロムウェル、あいつが何処に跳んだか分かる?」
「……そう遠くは無い、程度のことしか」
僕を見ずに言うクロムウェルの額には、汗が玉となって浮かんでいた。
クロムウェルの張った障壁の上に、導師(イマーム)が乗っていた。
「あひゃひゃひゃ! 行ったぁああ、行ったねぇええ! アレはどこに行ったんだろうねぇえええ? 追いかけなくていいのぉおおお? あひゃひゃひゃぁああ!」
その面白がってる様子に、僕が感じたのは苛立ちではなく確信。
「遠くは無い、ね。それだけ分かれば充分だよ。……バイロイト」
導師が、面白がっているってことは。
『面白いことがおこる』と考えたからだろう。
多分、コイツは知ってるんだ。
シャゼリズ・ゾペロが、バイロイトの養女だった術士の息子だってことを。