黄泉送り ~3人の悪霊と1つの願い~
◇憑かれたモノ

***

・・・決意の告白だった。
ずっと見ているだけなら、思いが届かないのなら、ふっ切る為に告白しようと決めた。
玉砕覚悟の特攻。

放課後の教室で、思い切って声を掛けた。
「ちょっと話があるんだけど」
緊張で声がうわずった。

果穂は俺の後を付いて来た。
果穂がどんな顔をしていたのか、振り向く事さえ出来なかった俺には分からない。

廊下の突き当たりにある扉を開け、非常階段に出た。鉄製の扉が軋みながら閉まり、踊場で2人きりになった。

振り向いて向かい合う。
遠くで、誰かの笑い声が聞こえる。
鼓動が速くなる。
喉がカラカラだ。
頑張れ俺!!

「あのさ、実は、あの・・・」
何が何だか分からなくなる。
それでも、何度も練習したフレーズを口にする。

「初めて会った時から、ずっと好きだった。多分、これからも、ずっと好きだ」

言った。
俺は言ってやった。これでもう、思い残す事は何も無い。


「私も・・・私もずっと好きだったよ」


***

 


< 69 / 100 >

この作品をシェア

pagetop