不機嫌な果実
「…で、何?」

私はいつもの口調で、問いかける。


「ちょっと聞きたんだけど、

恭治先輩と、凌也様、どっちと付き合ってんの?」


「・・・は??」

なんちゅう質問だ?

私はどちらとも付き合ってなんかない。

恭治は友達だし、

凌也はただのお隣さん。

・・・

「どっちかって聞いてんの」


「・・・あのねぇ、私はどっちとも

付き合ってなんかいないわよ?」


呆れ顔で言う私に、

苛立ちを押さえるように、

手を震わせてその手を握りしめている女子。

・・・

やっとこの状況の意味を理解できてきた。

どっちとも話す私が、

気に入らないわけだ。

「じゃあ、話すの止めなさいよ」

「は?何で友達と話すの止めなきゃいけないわけ?」


誰だって思うでしょ?

友達と話す権利を勝手に奪われたら、

腹たつし・・・
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