嗚呼、愛しの姫君
すると、王様は両手をスッと前に出されました。
その両手は閉じられておりました。


「…まず先に言っておく。娘は命を奪われてはおらん。…が、死の危険には晒されておる。」


王様は閉じていた両手をゆっくりと開きました。そこにいたのは、黒く光るこの国でも忌み嫌われている虫…ゴキブリ、でした。


「これが…カトリーナじゃ。」
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