視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~

一通りの会話を済ませて、私は斉藤刑事の事を長田さんに尋ねた。

長田さんは言い辛そうな雰囲気だったけれど、私に話してくれたんだ。


「斉藤はしばらく精神科病棟だ。心が壊れてしまったからね…。」


「精神科病棟…。」


「科学捜研の見解では、”非定型精神病”との事だ。簡単に言えば鬱病だよ。時間はかかるだろうし、安定と混乱の行き来をするかもしれない。だが、いずれ完治はするだろう。」


と、そう教えられた。

あんな事があった後に、正常でいられる私の方がおかしいのかもしれない。


そう思った…


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