こらしめ屋
「それだけじゃ駄目なんだ!」
四季は声を少し大きくして否定した。
「それだけじゃ…。春花を、しっかり守ってやれるくらいじゃないと!」
そう言いながら、あたしの瞳を真っすぐに覗き込む四季の顔は、真剣そのものだった。
あたしは、そんな四季に少し戸惑いながらも言葉を紡いだ。
「四季…。あの…ありがと。本当に血が繋がってるわけでもないのに…姉思いの弟で嬉しいよ。」
あたしは、感謝の言葉を述べたつもりだった。
だけど、何故か四季の顔は曇ってしまって…
「四季…?どうしたの?」
心配になって、俯き加減の四季の顔を覗いた時だった。
「う…わっ!」
四季があたしの腕を掴むと、自分の方へとグイッと引いた。
そのせいで、あたしは四季の腕の中へとすっぽりと収まってしまった。