こらしめ屋
「初めまして。私、佐伯探偵事務所を経営しております、佐伯夏柑と申します。」
「は?探偵?」
「あなた、騙されちゃ駄目よ!これもきっと、春花の仲間だわ!」
これ呼ばわりされた所で、夏柑の眉根がピクリと動いて、笑顔が崩れかけたが、両親はそれに気づかない。
「む!そうか。ならば、お前も出て行け!名前も聞いたことのない、無名のヘボ探偵が!」
この瞬間、夏柑は笑顔でいるのをやめた。
そして、プチッと何かが切れる音が聞こえた気がするのは、あたしだけ…?
「ヘボ探偵だと…?俺が…?ヘボだと…?」
「あぁ、そう言ったとも!早く出て行け、ヘボ探偵!」
《ダンッッ!!!》
突然の大きな音に、その場にいた全員がビクリとなった。
夏柑を除いて…
「ふざけてんじゃねぇぞ、コラ。おめぇら、これからその言葉、後悔することになんぞ。」
こんなに低い静かな声、聞いたの初めてだ…
夏柑はこっちの味方だってわかってる筈なのに、背中がゾクリとした。