こらしめ屋
話し終えた時、杉原さんの目には涙が浮かんでいて、あたしは胸が苦しくなった。
「杉原さん……。」
「今でも夢を見るんです。何度も、何度も…。
血に染まった娘と夫の姿がっ…。」
あたしは杉原さんに何て声をかけたらいいのかわからなくて、言葉に詰まった。
慰める言葉が見つからなくて、あたしはただ、仕事を進めるしかできなかった…
「では、杉原さんは、宮武拓也をこらしめて欲しいんですね?娘さんと旦那さんの敵討ちに…。」
「……はい。」
「わかりました。あたしが宮武をこらしめてみせます!」
「有り難うございます!本当に…?」
「本当です!ただ、これほど大きな依頼になると、時間がかかりますよ…?」
「時間なんていくらかかっても良いんです。時効に間に合わなくても良いんです!敵討ちさえできれば…。」
「そうですか…。わかりました。この依頼、あたしが責任持って完遂します!」
「あぁ、本当に有り難うございます!お願いします。」
「では、ここにサインお願いします。あと、連絡先も。」
杉原さんは震える手でサインと連絡先を書いた。
こらしめプランを考えるつもりだったけど、
「おまかせします。」
とのことで、杉原さんは一礼して再びお礼の言葉を言うと、事務所を後にした。