こらしめ屋


やっとこさ見つけた金井守のデータは、ほぼ白紙だった。



「金井守、27歳。B型。身長172㎝。これだけ?しょうがない。面倒くさいけど、調べ上げるか。」



ふと、時計を見ると、いつの間にか6時を過ぎていた。

そろそろ帰らないと、心配をかけてしまう。


店を出て、急ぎ足で商店街を抜ける。

商店街から少し歩いた【釧林】って所に、あたしは住んでいる。



「ただいまー。」



扉を開けると、いつもの様に、コーヒーの良い匂いがあたしの鼻をくすぐる。



「お帰り、春花ちゃん。」



カウンターの方に立っている笑顔のおじさん。

あの人が、あたしの親代わり。



「マスター、まだお店 開けてるの?もう6時半だよ。」



と、あたしが言うと、



「春花ちゃんが帰ってくるまでは、開けておきたいんだよ。」



と、言ってくれた。



「ありがとう、マスター。」



マスターと話していると、心がすっごく落ち着く。



< 8 / 290 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop