「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
「鼻がデカい人って、アソコもデカいんだよね?」


曖昧な疑問形。質問というよりは確認的な……。



米山は私を真っ直ぐ見詰める。まるで時が止まったみたいに微動だにしない。



固まった?

ポーカーフェイスは崩せなかったけど、まずまずの結果だ。



私も負けじと見詰め返し、でも内心ではほくそ笑んでいた。



けれど突然、おもむろに米山が立ち上がった。そうしてゆっくり静かに移動し、私の背後で立ち止まる。


米山の予測不能な動きに、今度は私の方が固まった。



ドクン、ドクン、と。鼓動がやけにうるさくて、耳を塞ぎたい衝動に駆られる。



やがて――

私を挟み込んで米山の両腕が机の上に突き立てられる。


ビクッと身体が跳ねた。本当に驚いた。



私の身体には少しも触れていないのに。それなのに、米山の気配がものすごく近い。


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