「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
米山のデスクは私の斜め前だ。じいっと眺めていても、ヤツは全く気付く様子がない。


その食べっぷりは、豪快で爽快。見ていて気持ちがいいほど。



それにしても……。

口がデカい。そして鼻もデカい。



「米山って鼻デカいよね、目は小さいのに」


「鼻と目の大きさ、何か関係あんのか?」


「特にないと思う」


「なら、ほっとけよ」



ムッ……。



常に冷静沈着な米山。年下のくせに余裕たっぷりな堂々たる態度。


それが、今日は何故だか無性に鼻についた。ものすっごく気に入らない。

なので、困らせてやろうと思った。



この冷めたポーカーフェイスが崩れるのを、是非この目で見てみたい。



「鼻の大きさと関係あるのは……」

言いながら、サンドイッチを手にした右腕の肘を机の上につき、ほんの少し身を乗り出した。


米山はまた、視線だけを上げて私を見た。けれどその顔は訝しげに眉を顰めている。


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