「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
「オネェチャン、ご飯まだ?」

背後から掛けられた声に振り返れば、壁際のソファーに腰掛けている君江さんが、私に向かって全力で手招きをしていた。



でも。

彼女が綺麗に平らげた食器を、今しがた片付けたばかり。



「君ちゃん、お昼ご飯はもう食べましたよ。次は夕ご飯」


「夕ご飯? 何時?」


「5時です」


「5時? ここに書いといてくれる?」


言って君江さんは、マイシルバーカー(お年寄り用の手押し車)を指差した。


取っ手の所にメモ用紙が張り付けてあり、そこには既に、食事の時間がきちんと書かれている。



「書いてあります、大丈夫」

穏やかに言ってニッと両口角を上げて見せた。きっと目は笑っていない。自分でもわかる。


「そお?」

半信半疑のまま、それでも大人しく口を閉ざした君江さんは、ゆったりと背中をソファーの背もたれに預けた。


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