「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
「若くないよ、再来年には三十路がやって来る」


「28? そこそこ若いじゃん」


何だか意味深な響きを感じるのは、気のせいだろうか。



「そう言えば……米山っていくつ?」


「25」


即答だった。だから余計に衝撃的で。



「三つも年下じゃん! 何? そのふてぶてしい態度。少しは年上を敬えっ!」


「お前こそ、もっと年上を敬えよ。あの人たちは人生の大先輩だからな」


「入居者さんたちのこと言ってんの?」


「他に誰がいんだよ? 逆に聞きてーわ」


そしてパクリ、米山は箸に挟んでいた唐揚げをようやく口へ放り込んだ。



「あっ……そっ」

どうでも良さそうに返せば、米山はフウと一つ息をつき、再びお弁当を食べ始めた。


< 9 / 241 >

この作品をシェア

pagetop