マー君(原作)
「急遽マー君ウィルスの増刊を出そうと思う。今この波を逃したら他社にいいように情報が操作される」

三上は語りながら鳴り続ける電話に近づき、コードを抜きコール音を止める。

「そんなことになる前にこちらから先手を打たなければ、今回の記事もパーになる。だから、何がなんでも嘘でもいいからネタを探すんだ」

まるで自分が書いた記事のように話していたが、洋太はさほど気にしなかった。それより三上に期待すらしていた。

ここに勤めて早三年経つが、こんなに職場が活気づいたことなどなかった。

ただダラダラとしていたこの職場が、今革命が起きたかのように活き活きとしているのだ。興奮しないほうがおかしい。

洋太は三上の熱弁を聞きながら今後のことを予想した。その妄想とも呼べる物には輝かしい未来が無理矢理描かれていた。

怪奇出版が世に認められ、テレビに大々的に取り上げられ、新しい会社ができ・・・・・・。
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