マー君（原作）
＜２＞

昼も過ぎ、暑さが和らいだ頃、怪奇出版のオフィスでは、珍しく緊急会議が行われていた。

オフィスの真ん中にある小さな丸テーブルを数少ない社員が囲んでいる。

その周りのデスクのあちこちから電話がけたましく鳴っていたが、誰も出る様子はない。席についていた洋太も同様電話を無視していた。

それは内容がわかっていたからだ。

どうせマー君の記事についてなのだから。

洋太が出した記事は予想外な結果を生み出した。誰も信じないであろうと思われたあの記事、あれは多くの人々に影響を与えた。

雑誌はどんどん売れ、真相を知りたがる者からの電話が鳴り止まない。中には批難の声もあるが、それはほんの一部だ。

「えーでは今回のマー君ウィルスに対する記事だが、なんとも予想外な売れ行きを見せ、今だ上昇中だ。そこで−−」

編集長の三上がいつになく活気づき、立ちながら熱弁を奮っていた。テーブルにつく社員達も皆真剣そうな眼差しを三上に向けている。
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