マー君(原作)
<3>

人込みの中を歩く成幸は、顔を隠すようにフードを深く被り、俯いていた。なるべく目立つ場所には来たくないが、怪奇出版社に行くにはこの大通りを通るしかない。

成幸が歩く道は周りをビルや店、高い建物に囲まれた大通りで、繁華街という所だった。

広く開けた道路に長い横断歩道がクロスし、今大勢の人が信号を渡っている。

成幸はひたすら横断歩道の白いラインだけ見つめ、早足で進んでいた。周りの人々の脚が視界を横切るが、目も暮れない。

とにかく今はこの広場とも呼べる所から一秒でも早く抜け出したかった。それもあのマー君の秘密を知ってしまったがためだ。

今になってよくわかる。

マー君の恐ろしさが。

首が疲れ、少しだけ顔を上げる。

眩しい日差しが目を刺激する。道行く人々の顔が見える。皆自分の用事で忙しそうに先を急いでいる。老若男女、様々な人が歩いている。誰も成幸など見ていない。

だが−−。
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