マー君(原作)
「そ、そうですか、それは嬉しいです。あの記事は雨さんのおかげで書けたものですから」

洋太はぎこちないがそれでも彼女の機嫌を損なわないように言う。そこへ雨の母親が御盆にお茶が入った背の低い湯飲み茶碗を二つ載せてやってきた。

彼女はにこにこ笑いながら洋太の前にあるガラステーブルにそれらを置く。

「いえいえ、あんなにあの記事が好評だったのも、洋太さんの腕ですよ。ウチの娘なんか、何もしてませんから」

雨の母親が洋太の隣に立つ。洋太は彼女が気になって仕方なかったが、なるべく気にしないように勤めた。

ふと顔を上げ、彼女の顔を見る。

やはり雨にどこか似ている。すらりとした顔がこっちをじっと見下ろしている。

その視線に気まずくなり、テーブルの上で湯気を上げている湯飲み茶碗を取り、無理やり口に運んだ。その後、一息ついてからもう一度彼女を見上げた。
< 278 / 604 >

この作品をシェア

pagetop