マー君(原作)
ピンク色の壁が近くに見える気がした。天井がやけに広い気がした。

とても、心が落ち着いた。

ずっと逃げてばかりだったためか、ただの壁が美しく見えた。きっと疲れているからだろう。だから、感覚が少しおかしいのだろう。

気づくと、鼻で笑っていた。自分がおかしいことが、滑稽に思えたのだ。ただの壁を美しく思う自分に――。

「なんで、笑うの? つらくないの?」

亜理紗が口を開いた。まるで、不思議な物を見ているように目を丸くしている。

そんな彼女を見返し、成幸は断言した。

「辛くないよ。君が、味方がいるから」

そう、もう僕は一人じゃあない。

一人じゃあないんだ。

ずっと裏切られ、逃げてきたが、もうそんなのうんざりだ。前を向いて、戦う。

それが僕の意思だ。

と、突然外から足音が聞えてきた。いつの間に誰か二階に上がってきたようだ。その足音は成幸たちがいる部屋の前で止まった。

座っていた亜理紗は立ち上がると、ドアに顔を向けた。
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