マー君(原作)
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暗い夜道を一台のタクシーが疾走している。住宅街の入り組んだ道もカーナビなしでどんどん進んでいく。

年配の男運転手は外灯に照らされる細い道をゆっくりと運転していた。

後部座席には勝田が何かに怯えるように座っている。黒い手提げ鞄を抱きかかえ、縮まっている。

その様子を運転者がバックミラーごしに見ている。

勝田は、やつれた顔で手提げ鞄を見つめていた。

あれから何回もマー君による嫌がらせを受けたため、もはや精神的に参っていた。

おそらく今日だけで死にたいと百回以上聞かされたかもしれない。

あれだけ活き活きしていたのに、今や死にかけていた。

いっそう自殺したほうが楽だろう。

こんなスリルを味わい続けていたら、いつかおかしくなる。

もはやこれは勝負ではなくいじめだ。

マー君と向き合うことで、自信を変えるつもりがこの様だ。

この様子じゃあ、今日中にマー君に殺されるかもしれない。鎌で全身を刻まれ。

だとしたら、自殺して楽になりたい。

あんなむごい死に方は嫌だ。
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