マー君(原作)
「お客さん、大丈夫ですか?」

運転手が心配になってか声をかけてきた。勝田は無視しようと思ったが、顔を上げ、気の抜けた声で答えた。

「そんな風に見えるか?」

「すみません、余計なことを言って」

「なら、もう口を開くな。黙って運転しろ」

勝田はまた俯いた。

もう、楽になりたい。

家に帰ったら、手首を切って自殺しよう。そうすれば、マー君と会わずに済む。

全身バラバラにされて死ぬなんて耐えられない。

そうしよう。

もう、やるしかないんだ。

ここで迷ったら、マー君に殺される。惨殺され、苦しむよりなら、先に死ぬしかない!

もうそれしか、この苦しみから解放されないんだ! 
勝田が意を決めた時、運転手がまた口を開いた。さっき口を開くなと注意したのにも関わらず。

「そういえば、お客さん。さっきから気になってたんですけど……隣に座っている人は友達ですか?」

隣?

この親父はなにを言っているのだ?

勝田はぞくと寒気を覚えつつ、隣を見た。
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