マー君(原作)
「何を--」

「まーいい」

吉沢は煙草の火を消すと、それをデスクの下で横たわっている成幸に向けて指で弾き飛ばした。

「我々は貴様と良一、マー君--間宮、三人にはなんらかの繋がりがあると思っていた。だが、貴様が自覚してないとなると、貴様に何を聞いても無駄だ」

宙を舞う煙草は見事成幸の顔に命中し、床に落ちた。しかし、仮面をつけている成幸はぴくりとも反応しない。

その様子を、吉沢は退屈そうに見ていた。なぜか洋太も同じように成幸を見ていた。

「聞いてるはずだが・・・・・・想い--マー君に対抗できる唯一の力だ。だから--もしマー君を止めれるとしたら、マー君を知る者しかいない」

「俺と良一が--」

「マー君にはまだ心がある。人間だった頃の心が--。幼い頃の思い出が。マー君はおそらく貴様を知っている。そして良一もな。

だから、殺さない。殺せないからだ」

洋太は悲しそうに呟く吉沢の横顔から目を離した。その結果また成幸に視線がいく。しかし、頭の中では別なことを考えていた。

目の前にいる感染者ではなく、マー君--間宮を。

貴様はマー君を知っている--。

一瞬、マー君が自分を横目で見た時のことを思い出した。モルグに入る前に、何故か俺を見た。どこか悲しそうに。
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