マー君(原作)
<16>

JCOの赤木滝に案内され、JCO本部に乗り込んだ雨は、目の前の光景に息を飲んだ。

今赤木、その後ろに雨と光也がいる。彼らのいる狭い通路には数えきれないほどの死体と血が広がっている。白いコンクリートの壁が赤で覆いつくされるほどに--。

雨も光也もショックでしばらく立ち尽くしていた。ダークスーツや白衣を着た人間があちこちに倒れている。まだ息があるものもいる。だが、動けない。

通路に広がる惨劇。

頭を切られた。

内臓が飛び出た。

腕がない。

顔がない。

雨は目に焼き付けた。その悍ましい光景を。

死体の中には感染者のものも混じっていた。仮面を割られ横たわっているが、まだ微かに息があるものもいた。その一つが雨のすぐ右手の壁に背を預けて雨を見ていた。

「ぼ、僕に、会いに、きたの、か? 雨」

顔には溢れんばかりの目がついており、雨を睨んでいる。長い手足はだらりと下がり動かない。レベルLの割れた仮面が雨の足元に見える。雨はその仮面からレベルLの顔に視線を移した。

その途端レベルLの無数の目がぎょっとする。

「み、る、な。僕の、顔を--」
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