マー君(原作)
「溜め込むのは、よくない。気持ちは、思いは、口にしないと、相手に伝わらない」

テレビではマー君の生中継が行われていた。黒い背景に白い仮面が浮いて見える。その白い仮面から甘ったるい子供の声が聞こえる。

「皆、さぁ、その時が来た。あと少しだ。あと少しで世界は生まれ変わる!」

凪は画面に釘づけになり、一瞬何を言おうとしたかわからなくなったが、亜理紗が警告したことにより思い出した。

「駄目だよ。もうすぐ、よくないこと、起きる。感染する」

「僕はしない! マー君、あんな奴に負けないから! でも、でも--」

「何もできない?」

凪は頷くしかなかった。そう、今の僕は無力だ。

思うことしかできない。

「なんか勘違い、してるよ」

「えっ?」

凪は顔を上げ、亜理紗を見た。彼女はテレビを見下ろしながら、静かに言う。

「君は強い。誰よりも。その、思いは。思いは、人を強くする。だから、君は強くなる。もっともっと。

そして、思いは奇跡を、呼ぶ」

その言葉が終わった直後、テレビからカウントダウンが始まった。

「さぁ、僕を見るんだ。自分を変えたいなら! あと30秒、29、28、27!」
< 574 / 604 >

この作品をシェア

pagetop