マー君(原作)
<21>

黒の仮面本部に戻った凪は、運転者の大学生と共に倉庫中央にいる亜理紗に近づいた。

本部にはほとんど人がいない。いるのはノートパソコンをいじる情報処理班と亜理紗だけだ。情報処理班は四人--。男女二人ずつ。

皆忙しいパソコンや学校にいる仲間に無線で指示している。

そう、皆学校にいるんだ。マー君を止めるために。

なのに、僕は--。

凪は倉庫のテーブルの前に立つ亜理紗を睨みながら、近づいている間別なことを考えていた。そのため、亜理紗に声をかけられてもすぐに返事ができなかった。

「--凪、凪君!」

「あ! うん」

「心配?」

凪は亜理紗に向かい合うようにテーブルの前に立ち、顔を反らした。それを見てか、亜理紗が静かに告げた。

「心配なのは、ここにいる、皆も、同じ。学校にいる、皆が--」

「違う!」

凪はついにかっとなり亜理紗を睨んだ。しかし、亜理紗が今にも泣きそうな顔をしていたので、何も言えなかった。

なのに、亜理紗はまるで包みこむかのように優しく促してきた。

「いいよ、話しても。凪君、の気持ち、を」

亜理紗はテーブルから離れ、すぐ近くに置かれてある大型テレビに近づいた。そしてそのテレビの縁を手でなぞる。
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