マー君(原作)
最初に異変に気付いたのは、間宮だ。

冥界の入り口とされるその小屋から細い手が伸び、洋太達を招いている。

いつもは固く閉ざされている引き戸が少しだけ開いており、その隙間から手が伸びている。

その小屋はかなりの年代物で、トタン屋根や壁に使われている木材はかなり痛んでおり、火事でも起きたらあっという間に崩れ落ちてしまいそうなものだった。

中には、今も用務員が使う道具収納されていると聞くが、噂では想像もつかない恐ろしい物が置かれているのではないのかとされている。

中には大きな鏡があり、そこが冥界に繋がっているという説もある。

それも恐らくJCOが流したデマだろう。そんな怪談話ができたのも、最近のことだ。ずっと昔からあった訳じゃあない。

それでも、俺達みたいなガキには十分効果はあっただろう。

「なぁ、あれ」

友達の一人――間宮が夕日に照らされる招く手を指差した。

洋太は自分の目が信じられず、じっとその招く手を凝視していた。しかし、それは止まることなく自分達を誘惑している。

すると、友達の一人が虫かごをおいて、虫取りに使う網取り(長いプラスチックの先に網がついた物)を逆に持ち、長い棒の方を招く手の方に向けながら、近づいていった。

良一はすぐに止めようと手を上げたが、別の友達に遮られた。

そう、それが俺だ。

あの時良一を止めなければ、間宮はこんなことには……。

間宮は俺の差だした手を握らなかった。その手は虚しく宙を掴んだ。あの時、あいつの手を握り締めていれば、間宮は。

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