淡い初恋
放課後、龍くんに声をかけられ私達は一緒に高校を後にした。教室から一緒に出てくる時、みんなの冷たい視線が痛かったけど、彼に心配をかけたくなかったため、平気な振りを装った。

「龍くん、明日から一緒に帰れないけど良いかな?」と聞くと「え?なんで?」と当然のごとく聞かれた。これ以上、二人でいるとこを見られると周りにまたなんか言われそうと一瞬思ったが、テストのことを思い出すと「テストの点数があまり良くなかったから放課後は図書室で残って勉強したい」と言った。すると彼が「そんなに良くなかったのか?」と聞いてきたので「物理が70点・・・。」と応えた。「確かにそんなに良くないな。」と苦笑いで言ってくるので「じゃぁ、龍くんは何点だったの?」と聞くと、
「俺は100だよ。」と言ってきたので「え!?」と思わず反応した。
「まぁ、数学が95、地学が98、生物が93等々。俺、基本90より下取ったことないから。」とサラッと言ってくるので「え~!!」と驚いた。私の反応を見て龍くんは笑った。

龍くんはガリ勉しないって北沢くんが言ってた。でも、何もしないでこんな良い点数が取れるなんて、天才って本当に存在するのだなと驚愕した。だから、いつも首位をキープしてるんだ、本当に私とは雲泥の差だな・・・と思っていると急に「俺が教えてやろうか?」と私を抱き寄せニヤつきながら彼が聞いてきた。

「い、いらない。一人で勉強するから。」とすぐさま私は応えた。「なんだよ、遠慮するなよ。」と一瞬不機嫌になるので「違くて・・・。」と私は口ごもった。

「じゃぁ、なんだよ。」と痺れを切らして聞いてくるので私はいつだったか授業中、龍くんに見とれて恥かいた時のことを思い出し、「龍くんといるとドキドキして勉強に集中出来ないから。」と口を尖がらせながら応えた。すると龍くんは、道端で急に私を抱擁してきたのでびっくりして思わず「キャ~!やめて~。」と私は彼の胸の中で悲痛な叫び声を上げた。

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