淡い初恋
放課後は図書室に居残って勉強していた。だけど、自分から言い出したくせにもう耐え切れなくなった。今頃は手を繋いで龍くんとくだらない話で盛り上がり、気づけば私の家に到着してて、別れが名残惜しくてまごまごすると彼に宥められキスされて幸せ気分になりながら家に入って帰るところなのに、もう無理!!私は木曜日の放課後、龍くんに一緒に帰ろうと言うと「もう、勉強は飽きたの?それとも俺が恋しくなった?」とからかわれた。後者が正しかったけど、誤魔化すように「う、うるさい。」と言うと「ごめん、今日家の用事があって早く帰らないと間に合わないんだ。」と言われた。

「そ、そっか。」と応えると「本当にごめん!」と合掌して謝られた。「い、いや大丈夫だよ。」と言ってバイバイしたけど、ちょっと寂しくなった。でも、明日があるか!私は、気を取り直すと下駄箱に向かった。
「避けられてんじゃないの?」と誰かに言われて振り返ると早坂さんの取り巻きの一人が立っていた。「そろそろ、気づいたら?絶対他に女が出来たから千堂くん面倒くさくなったんだよ。」と有りもしない話をしてきた。
私は、「そ、そんなことないから。」と言って逃げるように学校を後にしたけど少し不安になった。

龍くんは確かにモテる。私と付き合ってる間にも何人かの子に告白されてるみたいだった。でも、そのたびに断ってるはずだし、他に女なんて作るわけないと信じてる。でも、今一人でいるとやっぱり心細くて、不安で仕方なかった。

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