淡い初恋
数日後、私は楽しそうに笑い合う龍くんとユリさんを街で見かけた。

龍くんは、私の存在に気づいたのか一瞬こっちを見ると何もなかったかのように彼女の肩を抱き寄せ、歩き始めた。

龍くん、ユリさんのことが好きだったんだね。

私は呆然とするとその場で立ち尽くした。

私の瞳からは一筋の涙が頬を伝った。

もう、これで本当にさよならだね。

龍くん、お幸せに。

そう、心の中で呟くと私は踵を返し、彼らを背に歩き始めた。

【淡い初恋 終わり】
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