淡い初恋

愛されてない

そんなある日のこと、取り巻きの一人に「ねね、あの噂知ってる!?」といきなり私に駆け寄って聞いてきた。「何?」と聞き返すと「千堂くんが光源氏って言われてるって噂。」と言ってきた。「は!?」私は思わず大きな声で聞き返した。「どうやら、付き合ってる女、玲奈以外にもいるみたいだよ。」と言うと彼女はまた、まずいと思ったのか逃げるように去ってしまった。

何それ、どうゆうこと?私は放課後彼に問い質そうとしたら、校門の前で千堂くんが別の女の肩に手を置き、お互い親しげに身を寄せるとどこかに行くのを目撃した。

「可哀想にね~。」と北沢友樹が通りすがりに嫌味を言ってきた。私は、怒りでワナワナと体が震え、その場に立ち尽くした。


「なんで私という恋人がいながら、他の女とも付き合うのよ!」次の日、私は、彼を人気のないところに呼び出すと彼を怒鳴った。だけど、それに動揺することなく彼は悪びれもなく言い放った。「俺を好きになる女は大勢いる。光源氏か、確かにそうだろう。俺は一人の女に満足しない。だから俺だけがお前のものという甘い考えは捨てろ。もし、自分だけを愛して欲しいと言うのなら他の奴にあたれ。」

私は、言い返そうとしたけど彼の冷めきった眼光を見て言葉を飲み込んだ。そして唇を噛みながら彼の前から去った。

何よ、なんなのよ!高梨希と付き合ってた時はそんなこと一度もなかったじゃない!なんで、私だけ見てくれないの!?

私は、全力疾走で家に向かうとリビングで珍しく母と会った。
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