オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
 
……まあ、あたしとしても、今のはさすがに言いすぎたかも、と反省してやらなくも、ない。

けれど、先輩の無言の圧力の威力が思ったよりも大きかったもので、こちらとしても、なかなか引き際の判定が難しく、勢いのままに、またもやキツい言い方をしてしまう。

すると先輩はさらにしゅん……となって、とうとう、あたしに背中を向け、壁に人差し指でぐるぐると円を描きはじめてしまった。


「……俺、ただ、まことちゃんにプレゼントをあげたかっただけなのに」

「……」

「せっかくのイブだよ、隣には愛しのまことちゃんだよ、ちょっとはしゃぎすぎたからって、何もトトーレに夜までいることないじゃん」


そして、先輩はそう悲しげに毒を吐く。

なにさ、こんなしみったれた雰囲気じゃ、せっかくの七面鳥も、ちょっとドレスアップしてお洒落にしてきた服も台無しじゃないか。

ホテルのディナーだって言うから、けっこうな時間を費やしてコーディネートを考えてきたんだぞ、その時間、返して頂きたい。

けれど、である。


「……、……う」

「なに、まことちゃん」

「あと7時間もトトーレはキツい、かも」


そうなのだ。

さすがにそれは、厳しいと言えよう。
 
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