オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
 
愛菜のほうも、まだあたしのことを好きでいてくれていた、ということが分かり、やはりオトコの娘カフェに再潜入してよかったと。

ちょっと口元が緩みそうになった。


「じゃあ、部外者の竹山さん。愛菜とまことちゃんの愛は、“オトコの娘”にも、あなたにも負けずに続いていた、ということで、さっさとお引き取り願えますか? ……永遠にね」

「そうよ、そうよ!」

「……っだよ。ブスどもがっ」


そこへ、メルさんと奈々が加わり、あたしたち5人の形成は、4対1で見事に逆転を遂げる。

まあ、奈々とメルさんは、もともとあたしの側についてくれていたのだから、厳密に言えば、3対1と愛菜、という形だったのだけれど、一番肝心なのが愛菜の立ち位置だった。

愛菜がどちら側につくかで、人数には関係なく勝敗が決まってしまうわけで、愛菜がこちら側についてくれて、心の底から嬉しく思う。

これからのことは追々考えていくとして、まずは、竹山にもうひとつの扉を開けられるかもしれない一大事を無事に阻止できてよかった。


「……メル、それも違う。ちょっと待って」


けれど、安心したのもつかの間。

愛菜はそう言い、表情をくもらせた。
 
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