オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
 
当然のことながら、奈々とメルさんは声を合わせて「はぁっ!?」と言い、竹山も、思わずといった感じでニット帽とサングラスを脱ぎ捨て、愛菜の表情をじかに目に入れる。

けれど、あたしだけは。

あたしだけは、ああ、そうなのね……と妙に納得してしまったところがあり、3人の視線が愛菜に集まっている中、人知れずため息をついた。


「違うって、どう違うの、愛菜」

「そうだよ、葉司君。今でもマコのことが大好きなんでしょ? 悪く言う竹山が許せないから謝らせたんでしょ? どこも違うところなんてないじゃん。ヨリを戻そうよ!」


メルさんと奈々が口々にそう言い、今の“違う”発言についての説明を求めている。

竹山も、言葉にこそ出さないものの、気にならないわけはなく、じーっと愛菜を見つめる。

そうした中、わずかに顔を上げた愛菜は、すごく言いにくそうに、けれど、今言わなければ、と覚悟を決めたような様子で、こう言った。


「マコと別れた原因は、あたし的にはこれだと思うんだけど、あたし……もしかしたら、本物の女の子になりたいかもしれないの。マコに言われて初めて思ったのよ、オトコの娘と男の境目が、いつの間にか曖昧になっている、って」
 
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