オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
なんだか、売り言葉に買い言葉、みたいになっているけれど、そもそも、すごい愛があったら葉司と別れてなんていませんってば。
葉司がオトコの娘だということを受け入れて、今頃は一緒にそれを楽しんでいますってば。
「奈々、やめなって」と、竹山に突進していく勢いの奈々の肩を押さえながら、あたしは妙に落ち着き払った気持ちでそう心でツッコむ。
「だって!!」
「いいよ、奈々。この人の言ってることは間違ってないもん。どっちに転ぶにしろ、それは愛菜が決めることだし、第一、あたしはもう彼女じゃないしね。これ以上は何も言えないよ」
「マコ……」
「うん。だからさ、あたしたちも愛菜も、それに竹山さんも、みんな好きにやろう? あたしはそれがいいと思うんだけどな」
「……」
奈々は唇を噛みしめ、納得がいかない様子だ。
何を物分かりがいいことを言っているんだ、畳みかけるなら今でしょ!とでも言いたげな瞳であたしを見つめ、続いて竹山を睨みつける。
けれど、その竹山は、口元にシニカルな笑みを浮かべながら腕組みをすると、奈々とは違い、納得した様子でこう言った。
「その勝負、乗ってやる。ちんくしゃ」
と。