オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
野宮さんが助け船を出してくれ、メルさんの裸に気を取られて聞き逃してしまった突破口を、再び指し示してもらったところまでを話し終われば、いよいよ、あたしの気持ちが移り変わっていく、すごくナイーブな部分の話だ。
コーヒーを飲んで少し間を取り、口を開くものの……うー、なんだか変に緊張してしまう。
いくら親友といえども、こういう、本音というか、恋する気持ちを打ち明けるのは、いつもたいていバカ話をしてきたあたしにとっては、なかなかハードルが高いようである。
「どうした、マコ。いきなり黙って」
「いや、今さらだけど、恥ずかしい……」
語尾をフェードアウト気味に言いながら、顔を手で覆ってしまうくらい、猛烈に、超絶に。
けれど、これを言わなければ、きっと奈々は、あたしと一緒に『ねこみみ。』には行ってくれないだろうことは分かっている。
「言ってくれないと、あたし行かなーい。どうせ葉司君にも同じことを言うんだから、今あたしに言ったって大して変わらないじゃん。予行演習だと思ってほら、言いなさい」
「う……」
現に奈々もそう言っているし、葉司に気持ちを伝えるとき、かっこ悪く噛んだりしたら、それこそ、かき捨てられない一生の大恥だ。