オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
ニマニマした顔であたしを見ているため、奈々はとても楽しい気分でいるに違いないのだろうけれど、とりあえずは、奈々の言うとおり、予行演習のつもりで話すしか……ない。
ごくりと唾を飲み込み、えいっと覚悟を決め、一応のお願いとして「真面目に話すから真面目に聞いて」と前置きをし、口を開く。
「あたしさ、葉司に“オトコの娘なの”ってカミングアウトされてから、ずっと、葉司のどこが好きでつき合ってたんだろう、ってばっかり考えてた気がするんだよね。例えば、顔とか体とか、いわゆるパーツの部分ね」
「うん」
「でもさ、野宮さんが言ったのよ。メルさんがオトコの娘だって知って最初は戸惑ったけど、メルさんはメルさんだから、って。それを聞いて、ああ、そうか……って思ったよ、あたし」
「なんて思ったの?」
「葉司は葉司だ、オトコの娘だろうがなんだろうが、あたしが好きだったのは葉司そのものだったんだ、って。で、その気持ちは、いろいろあった今でも全然変わってない」
「そっか。それがマコが出した答えね」
「う、うん……」
うわー、恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!!
なんだか、夜中に書いたラブレターを朝に読み返したときみたいに恥ずかしい。