オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
 
けれど、愛菜が好きだからこそ、あたしをライバルとして認めてくれているからこそ、引き際を格好よく演じている竹山は、こういう言い方は変かもしれないけれど、男だと思う。

竹山、あんたって人は……。

いい奴すぎる。

お人好しすぎるよ、バカ。


「ほら、そこの司会のブス野郎。勝負はついたんだ、さっさとくす玉を割らせて、ベロチューなり何なりやらせろよ。俺は帰るぞ」

「あ!」

「ふん。とんだ寸劇だったな」


そうして、葉司共々、竹山の格好よさに目頭を熱くしていると、今まで魂が抜けたように呆けていたアズミのお尻を軽く蹴った竹山は、そう言い残し、ステージ裏へと消えていく。

それに代わって、ぱちんと弾けるように意識を取り戻したアズミは、お尻をさすりながらステージ中央のあたしたちのところまで来ると、客席に向かってこう宣言をする。


「……えーっと、愛菜ちゃんの告白によって、まことちゃんに軍配が上がった、というわけで、皆さん、見事に愛を復活させた2人に盛大な拍手をお送りください!おめでとー!」


直後、奈々とメルさんをはじめとして、客席からどっと湧き上がる拍手と歓声に包まれ、葉司とあたしは再度抱き合い、ちゅっと。

唇を合わせた。
 
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